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スポーツ外傷/障害

筋損傷 (muscle injury)

筋損傷とは

原因に関係なく、筋線維の破壊が起こり、重症化すると筋断裂や筋剥離にいたるものです。

分類

  1. 筋挫傷 (muscle contusion):直接外力
    直達外力による筋損傷;大腿四頭筋(大腿前面)に多い
  2. 肉離れ (muscle strain) : 間接外力
    自家筋力の収縮によるもの; ハムストリングス(大腿後面)、腓腹筋(ふくらはぎ)に多い
  3. 筋痙攣(こむらがえり) 筋肉の構造的損傷なし
  4. 筋肉痛 不慣れなとトレーニングで生じる・無害な症状

筋損傷の診断

外傷の発症形式、臨床所見、画像所見(エコー・MRI)で容易に診断できます。

1) 筋挫傷

大腿中間広筋筋挫傷

筋繊維の断裂、血管損傷により、血腫及び筋組織の壊死が生じます。

重要度分類

臨床所見 エコー所見
軽症 2/3以上の関節可動域 部分的筋腫大
中等度 1/3-2/3の関節可動域
重症 1/3以下の関節可動域 筋肉内、筋間に血腫

2) 肉離れ

大腿二頭筋肉離れ

筋腱移行部(筋肉と腱の境界部)で起こります。ハムストリングスの場合、坐骨結節部からの裂離損傷、骨折もみられます。

重要度分類

臨床所見 エコー所見
grade0 異常なし
grade1 5%未満の筋力低下 5%未満の小範囲の損傷
grade2 5-50% 5%以上の部分的筋損傷 筋全体には及んでいない
grade3 50%以上の筋力低下 筋腱移行部での完全断裂

筋損傷の治療と後遺症

a) 急性期(筋組織の破壊と炎症) 受傷後1-14日
RICE処置:可及的に早期の適切に対応することによって、出血を最小限にします。R (rest) 局所の安静・I(ice) 冷却・C(compression) 圧迫・E(elevation) 挙上冷却は10-15minを30-60min間隔で行う。長時間の連続冷却は出血を助長します。薬物療法 早期より除痛を行う。
b) 修復・改造期 受傷後2週-6ヵ月
理学療法:受傷後1週程度から疼痛を感じない範囲で可及的早期からかモビリゼーションを開始します。
軽症例であれば1-2週間で復帰も可能であるが、重症であれば2−3ヶ月の治療期間を有します。
c) 後遺症
コンパートメント症候群 骨化性筋炎など

診断と治療のポイント

初期治療RICEを適切に行い、出血を最小限に抑えます。重症度を的確に判断し、復帰時期の予測をして、可及的早期よりリハビリを開始します。復帰ができれば再発予防に務めます。

参考文献

  1. ärvinen TAH, Järvinen TLN, Kääriäinen M, Kalimo H, Järvinen M. Muscle injuries: biology and treatment. American Journal of Sports Medicine. 2005;33(5):745–764.
  2. Lehto MUK, Jarvinen MJ. Muscle injuries, their healing process and treatment. Annales Chirurgiae et Gynaecologiae. 1991;80(2):102–108.
  3. Lee JC, Mitchell AW, Healy JC. Imaging of muscle injury in the elite athlete. Br J Radiol. 2012;85(1016):1173–1185. doi: 10.1259/bjr/84622172.

足関節捻挫:足関節靭帯損傷

捻挫とは

患者の現症であり、疾患名ではありません。捻挫は放っておいても治ると考えている人が多いようですが、捻挫=靭帯損傷であり、重症度を分類して、適切な治療・リハビリが必要です。

足関節靭帯損傷の診断

足関節内反損傷

発症形式:一般的には内反捻挫で前距腓靭帯・踵腓靭帯損傷が生じます。似たようの発症形式で中足部の二分靭帯損傷踵骨前方突起骨折

臨床所見:足関節外側に沿って腫脹・皮下出血・損傷靭帯部位に圧痛を認めます。発症形式は異なりますが、臨床所見が似ているhigh ankle sprain/syndesmosis injury:前下脛腓靭帯損傷という難治性靭帯損傷があります。

臨床所見 エコー所見
grade1 軽度の損傷 靭帯の伸長のみで
grade2 中等度の損傷 前距腓靭帯断裂 前距腓靭帯の不正像と軽度の関節不安定性
grade3 重度の損傷 前距腓靭帯・踵腓靭帯断裂 踵腓靭帯部の血腫と関節不安定性

画像所見:まずレントゲンで骨折が無いことを確認します。特に小児の裂離骨折は見逃す場合があります。エコーによって損傷部位の確認や不安定性の評価をします。

足関節靭帯損傷の治療・リハビリと後遺症

足関節靭帯損傷はgrade3であっても、保存加療が主体であって、手術加療は推奨されていません。

a) 炎症期(受傷後10日)
RICE処置:可及的に早期の適切に対応することによって、出血を最小限にする。R (rest) 局所の安静・I(ice) 冷却・C(compression) 圧迫・E(elevation) 挙上。10日前後の短期間外固定は問題ありませんが、長期の外固定は筋力低下、拘縮が生じるため推奨されていません。
b) 増殖期(4-8週間)
ギブスなどの外固定ではなく、半拘束型装具や足関節ポーターによる固定で、動かしながら治します。障害靭帯に負荷のかからない筋力強化 ストレッチを行います。
c) 改造期・成熟期(8週間-1年間)
受傷前の状態にもどるため、再発防止のためにバランストレーニングなど積極的なリハビリを行います。
d) 後遺症
再発:特に1年以内の再発が多く、スポーツ選手は2倍の再発リスクがあるといわれています。
陳旧性足関節靭帯損傷:靭帯の修復が不十分で不安定性が残存し、繰り返す捻挫を生じる場合があります。
距骨離断性骨軟骨炎:足関節靭帯損傷の際に併発し、繰り返す捻挫により起こる場合も有ります。

診断と治療のポイント

初回受傷時の診断、初期治療が最も重要です。初期治療を適切に行い、足関節の不安定性を残さないように治療します。特に小児期の治療は慎重に行ったほうが良いです。また、再発予防のバランストレーニングおよび運動時のテーピングやサポーター着用など考慮します。

参考文献

  1. Petersen W, Rembitzki IV, Koppenburg AG, Ellermann A, Liebau C, Brüggemann GP, Best R. Treatment of acute ankle ligament injuries: a systematic review.
    Arch Orthop Trauma Surg. 2013 Aug;133(8):1129-41.
  2. van den Bekerom MP, Kerkhoffs GM, McCollum GA, Calder JD, van Dijk CN. Management of acute lateral ankle ligament injury in the athlete.
    Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2013 Jun;21(6):1390-5. doi: 10.1007/s00167-012-2252-7. Epub 2012 Oct 30. Review.

小児に多いスポーツ傷害

小児の運動器疾患と特徴

成長途中にある小児の運動器は成人の運動器を小型化したものではなく、発育期特有の解剖学的特徴によりその力学的特性は成人と大きく異なります。子供の骨格は軟骨部分が多く、関節軟骨の近傍に小児特有な成長軟骨板が存在し、力学的に弱く、筋/腱付着部となるためスポーツ障害の好発部位となります。また、骨の伸長に対して、骨量の増加が追いつかないため一時的に骨密度も低くなり、骨自体も力学ストレスに脆弱になります。発育期における筋/腱の成長は骨伸長に比べて緩やかなため、急速に骨が成長する時期において筋/腱は相対的に緊張が高まり、また、筋力増加も骨格の成長に追いつかず、筋力が相対的に低い状態にあります。このような、骨と筋/腱の間の不均衡が障害を引き起こす要因となっています。このような特徴から、小児では関節、あるいは筋/腱が付着している部分の軟骨傷害や疲労骨折などが見られます。骨端症としてオズグットシュラッター(Osgood-Schlatter)病シーバー(Sever)病、骨軟骨障害として成長期野球肘の一つである上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎、疲労骨折の一つである腰椎分離症などがあります。

1) オズグットシュラッター(Osgood-Schlatter)病

脛骨粗面と呼ばれる膝の下方にある結節上隆起部の骨端軟骨が剥離することによって疼痛が生じます。脛骨粗面部は膝蓋靭帯の付着部であり、膝を伸展する際に大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)が膝蓋骨を介して同部を牽引するために、脛骨粗面部の骨端軟骨部に過剰な負荷がかかることが原因とされています。跳躍するスポーツやボールを蹴るスポーツの10-15歳の子供に発症します。

a) 臨床症状

脛骨粗面部の腫脹/圧痛を認めます。また同部が骨性隆起として触知されます。

b) 画像診断

レントゲンやエコーで診断できます。

c) 治療

治療は安静(運動の中止)と患部の冷却で炎症を取ります。疼痛が無くなればスポーツ復帰は可能ですが、疼痛の再燃が多く、スポーツ前後のストレッチ(大腿四頭筋)/アイシングが必要です。また、脛骨粗面部へのテーピングなどがあります。成人になり骨格が成熟したら症状は消失します。しかし、骨端軟骨が異常な骨形成/変形し、遺残疼痛が生じる場合もあります。症状が消失した後もスポーツ前後のストレッチは重要です。

2) シーバー(Sever)病

シーバー(Sever)病

踵骨(かかとの骨)に起きる骨端症です。オズグット病と同じで、本疾患はアキレス腱と足底腱膜(足の裏に膜のように張っている腱組織)の拮抗する牽引力が繰り返して起こることによって発症します。

a) 臨床症状

8-13歳のスポーツをする男児に多く、特に誘因なく運動時の踵部の疼痛で発症します。局所の腫脹や熱感は軽度で、疼痛が強くなると尖足(爪先立ち)で歩くようになります。

b) 画像診断

レントゲンで踵骨骨端核の濃度が濃くなり、分節化や骨端線の拡大を認めます。

c) 治療

安静(運動の中止)とソール(靴底)の柔らかい靴を選んだりします。また、足底板(インソール)などで踵を少し高くすることによりアキレス腱の緊張を緩めます。予後良好でありますが、足関節の硬さが問題であれば繰り返すため、運動の前後でストレッチを行います。

3) 成長期野球肘

離断性骨軟骨炎の病期分類

野球選手の上肢障害は多く、特に骨端線閉鎖前の小・中学生の成長期ではその解剖学的特徴から内側型(内側上顆障害)と外側型(小頭障害: 離断性骨軟骨炎)に分けられます。

内側型野球肘(内側上顆障害)

a) 臨床症状

明らかな原因となる1回の投球動作で急激な疼痛を自覚し、投球数と伴に徐々に疼痛が増していく場合や、投げ始めが痛く、徐々に投球数と伴に疼痛が軽減していくなど様々訴えがあります。

b) 画像診断

レントゲンやエコーなどで上腕骨内側上顆骨端核の筋/腱/靭帯付着部に亀裂や分節/分離像を認めます。

c) 治療

肘関節の負荷を制限するため、投球は中止します。バッテイングや捕球のみの守備練習、ランニングは許可されます。疼痛は比較的早期になくなりますが、病変部の圧痛や負荷試験などで疼痛が出現しなくなるまで、投球は禁止されます。疼痛が無くなれば、徐々に投球練習を行い、2-3週間かけて復帰していきます。その後は予防のため、正しい投球フォームの獲得や年齢にあった球数制限をします。また、レントゲンで修復像を確認していきます。

外側型野球肘(小頭障害: 離断性骨軟骨炎)

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は難治性の骨軟骨障害であるため、スポーツ禁止が長期間にわたり、場合によっては手術加療が必要なことがあります。

a) 臨床症状

比較的症状に乏しく、内側障害の際に偶然見つかる場合や検診で発見されることがあります。比較的病期が進行しなければ症状は出現しません。

b) 画像診断

レントゲンやエコーによって診断します。また、CT/MRIによって病巣の大きさ、深さ、遊離体の有無などを検査します。

c) 治療

一般的には病期によって治療方針を決めます。初期や進行期であれば保存療法、終末期には手術加療が選択されます。

保存療法
障害された上腕骨小頭の自然治癒力を阻害する外力を除去することであり、投球動作だけでなく、腕立て伏せや患側での荷物もち、グランド整備のトンボかけなども禁止します。持ってよいものは“箸と鉛筆”だけとします。外固定は必要ありません。レントゲンやCTで修復状態を確認していきますが、通常修復には1年程度要します。初期で90%、進行期で50%程度に修復を認めます。無症候性で発見された場合も同様です。
手術加療
保存療法で修復を認めないものや終末期は手術加療を行います。但し、ひっかかりやロッキングが無く、特に症状がなければそのままプレーを継続しながら経過観察します。手術法は関節鏡などで病巣部を切除し、郭清する低侵襲のものから、膝関節や肋軟骨部からあまり使用していない軟骨を骨柱として採取して、病変部に移植する方法などがあります。

4) 腰椎分離症

腰椎分離症とは、発育期である小中学生で未熟な脊椎に加わる反復ストレスにより、脊椎の後方にある力学的に脆弱な関節突起部が疲労骨折を起こしたものと考えられています。

a) 臨床症状

症状の主体は腰痛です。特に運動時に強く、伸展時(腰を反らす)時に痛みが出現します。2週間以上続く腰痛で、スポーツを行う発育期の子供であれば分離症を疑って積極的な精査が必要となります。

b) 画像診断

レントゲン、CT/MRIで診断します。成人の分離症はほぼ偽関節(治癒しない状態)でレントゲンのみで診断できますが、発育期の分離症はレントゲンのみでは難しく、CT/MRIで病期を正確に診断し、治療方針を立てます。適切な時期に的確な治療が行われると骨癒合を得ることができますが、治療時期を逸すると偽関節に至ります。

c) 治療

一般的には病期/年齢によって治療方針を決定します。小学生であれば全例骨癒合を目指した保存加療が行われます。中高校生であれば初期および進行期であれば骨癒合を目指した治療を行いますが、目標とする大会やトレーニング期を考慮して骨癒合を目指すか否かを決定します。終末期であれば骨癒合の可能性がなく、除痛を優先した対症療法となります。

病期診断 癒合率 癒合期間
初期 94% 3.2カ月
進行期
(MRIで椎弓根浮腫あり)
64% 5.4カ月
進行期
(MRIで椎弓根浮腫なし)
27% 5.7カ月
進行期 0%
保存加療
骨癒合を目指す場合は硬性コルセット(硬い鎧のようなコルセット)を装着し、3ヶ月間競技スポーツ/体育などを禁止します。疼痛が強ければNSAIDsなどの鎮痛剤を使用します。その期間はストレッチ(股関節)や体幹筋力トレーニングなどリハビリを行うことが、他のスポーツ障害の予防にもなり重要です。3ヶ月骨癒合の判定をします。状況によって硬性コルセットの装着期間が延長される場合や軟性コルセットへ変更し、徐々にスポーツ復帰をしていきます。骨癒合を目指さない場合ははじめから軟性コルセットを使用します。各種運動療法を行い、早期の競技復帰を目指します。
手術療法
保存療法に抵抗性の分離部由来の腰痛がある場合、手術療法が考慮されます。一般的には低侵襲で可能な限り背筋を温存し、分離部の修復術が行われます。

診断と治療のポイント

小児のスポーツ障害の発生には、オーバーユースとともに骨成長の関与が大きく、急速な骨伸長に伴う筋、腱の過緊張が発生要因となっています。このため、指導者や親御さんが子供の成長を把握しておくことが必要で、また日々の練習でのウォーミングアップとストレッチングを習慣づけることが大切です。治療に関しては運動休止や装具装着のコンプライアンスが重要で、病態や治療の目的、期間などを本人、指導者、ご家族に理解してもらって行うのが良いでしょう。

疲労骨折

疲労骨折とは

疲労骨折とは小さな外力が繰り返し骨の同じ部位に加わることによって、小さな傷が生じ、それが修復されず蓄積することによって起こる骨折です。もともとは軍隊の行軍訓練での中足骨骨折(足の甲)として報告されましたが、現在は様々なスポーツ選手などにみられます。スポーツの種目と好発部位ではランナーでは脛骨/大腿骨頚部/腓骨/中足骨(第2/3)の下肢に生じます。野球、テニス、バスケットボール、体操選手などでは尺骨近位/上腕骨遠位などの上肢にも生じます。

また、体幹部では腰椎分離症も疲労骨折の一つとして有名ですが、ゴルファーなどでは肋骨の疲労骨折も生じることがあります。

疲労骨折の原因として環境因子と選手因子の2つがあります。
環境因子は不適切なトレーニング、選手に合わないシューズやグランド、栄養習慣などがあります。
選手因子として筋力不足、骨格の問題、体の柔軟性、未熟な技術などが挙げられます。

スポーツ種目と発生部位

スポーツ種目と発生部位

臨床症状

局所の疼痛や軽度の腫脹が生じますが、日常生活では不自由のないことが多く、はじめは休息で症状の軽減を認めることがあります。但し、適切な休息や治療を施行しなければ病態は進行して、疼痛も徐々に増悪し、プレーに支障をきたしてきます。

画像診断

レントゲンやエコーで初期検査を行います。レントゲンで骨折の有無がはっきりしない場合でも、3-4週後の再検査でわかる場合もあります。疲労骨折を強く疑う場合はMRIを施行し、早期に診断を確定させます。

治療

治療

一般的にはスポーツの中止が必要ですが、日常生活には問題なく、外固定の必要もありません。
スポーツの中止期間(3-16週間)はMRI所見や発生部位によって決まります。中止期間に疲労骨折となった原因の除去や再発予防のためリハビリや装具療法を行います。
一部の高リスク疲労骨折(上外側型大腿骨頸部骨折、跳躍型脛骨骨折、足関節内果骨折、第二中足骨/第五中足骨基部骨折など)では保存加療では骨癒合の可能性が低く、手術加療が選択されることもあります。

診断と治療のポイント

診断と治療のポイント

休息で症状が軽快してしまうため、正しい診断/治療をせずに放置すれば再発を繰り返し、骨癒合が難しくなって、偽関節や完全な骨折に移行することがあります。
整形外科を受診して十分な診察/検査を行なって、正しい診断をしてもらうことを勧めます。

診療受付時間
診療科目
整形外科 リウマチ科 リハビリテーション科
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